(つづき)
果たして、彼らはふたたび跳ぶことができるだろうか?
この2年間、双子の兄弟は病院へ通いどおしだった。
お母さんは、今となっては、いつ、誰を、何回、
病院に連れて行ったのか思い出せないくらいだ。
今年の2月に初めてふたりが店に来てくれた時、
兄は膝と足首を痛め、弟は腰を疲労骨折していた。
特に弟は重症だった。
コルセットで固めた身体が痛々しかった。
シューズの履き心地を確かめるために
その場で軽くステップを踏むだけでも
痛みが走って顔をしかめるほどだった。
まして、三段跳びや走幅跳びで踏み切る際には、
体重の十倍以上の負荷がかかるとも言われている。
「このまま競技をつづけたら、
身体がどうなっても知りませんよ」
というドクターの警告は、おおげさでもなんでもなかった。
川見店主は、彼らのシューズを全面的に見直すと共に、
「姿勢」の改善を徹底するように彼らに求めた。
そのために必要なトレーニング器具や、
体のコンディションを整えるサプリメント等も提案した。
彼らはすべてを受け入れ、実践した。
復活を願い、目指し、一日一日の努力を怠らなかった。
こうして、3月、4月、5月が過ぎた。
「跳躍ツインズ」は高校最後のシーズンを迎えた。
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<兄の戦い>
6月5日。京都インターハイ。男子三段跳び。
兄は予選を14m62cmの跳躍で総合2位通過。
つづく決勝、以下、兄の記録。
1回目 ○ 15m04cm(自己ベスト)
2回目 × ファウル
3回目 ○ 14m66cm
4回目 × ファウル
5回目 ○ 15m16cm(自己ベスト)
6回目 ー
この日、兄の跳躍は他の選手と次元が違っていた。
自身初の15m越えジャンプを連発、
これまでの自己ベスト14m95mを21cmも更新し、
他の追随を許さない、圧倒的な優勝を決めた。
その2週間後、6月19日、近畿インターハイ。
兄は15m12cmのロングジャンプで予選を総合1位通過、
決勝では堂々3位の結果を残し、
念願の全国インターハイへの進出を決めた。
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<弟の戦い>
6月3日、京都インターハイ。男子走幅跳び。
弟は予選を6m58cmの跳躍で総合13位通過。
つづく決勝、以下、弟の記録。
1回目 ○ 6m40cm
2回目 ○ 6m80cm
3回目 ○ 6m70cm
4回目 × ファウル
5回目 ○ 6m75cm
6回目 × ファウル
順位7位。
自己ベスト6m85cmに迫る跳躍を見せたが、
あと一歩、近畿大会までには及ばなかった。
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先日、双子の兄弟とお父さんとお母さんがご来店。
川見店主:
「お兄ちゃん、全国インターハイ進出おめでとう!
ビックリ!すごい!さすが!
お祝いにサンワーズTシャツあげる!」
兄:
「ありがとうございます!」
川見店主:
「弟くん、跳べたね!よかったね!」
弟:
「近畿大会にも進めなかったので悔しいです」
川見店主:
「うん、その気持ちもわかる。
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