元箱根駅伝ランナーが大阪マラソン2015をぶっ飛ばす今日のアムフィット!〜Are You Ready? 2015(26)
2015-09-06


その人には、腕時計をして走るという習慣がない。

明けても暮れても陸上競技の青春だった。
1500mならば3分48秒
5000mならば14分28秒が自己ベスト記録だ。
高校時代には全国駅伝都大路を走った。
大学時代の正月は毎年箱根駅伝を走った。

並み居るライバルたちに勝つか、負けるか?
記録を更新するか、途中でつぶれて棄権するか?
そんな世界でずっと勝負してきた。
その人にとっての「走る」とは、
「やるか、やられるか」
「生きるか、死ぬか」
の戦いだった。
生死の狭間で時計とにらめっこしているヒマなどない。
だからその人は、走るときに腕時計をしたことがない。


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「Are You Ready?2015-2016」

第26回目は、元箱根駅伝ランナーTさんのご登場です。

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初めてフルマラソンに挑戦した時も、
Tさんの腕に時計はなかった。
3時間を切るのは当然のことだと決めていたが、
それ以上の明確なタイム設定はなかった。
いけるところまでいってやる――。
決めていたのはそれだけだった。
スピードの感覚はカラダが覚えている。

そのレースは走れすぎるほど走れた。
後半の折返しでタイムが気になった。
横で走っていたランナーに聞いてみた。

「このままのペースでいくと、
 どれくらいのタイムでゴールできますかね?」


そのランナーは驚いたにちがいない。
レース中にそんな質問をされることは、
これまでもこれからも2度とないだろう。
それでも、息を切らしてこたえてくれた。

「に、2時間40分、くらいだと思います」

よし、このまま突っ込んでやる――。
Tさんはペースを落とさずに走りつづけた。
そして、ぶっつぶれた。
35km地点で足はパッタリと止まってしまった。
残りの7km

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